臨床検査科
- 人間性と専門技術の研鑽に努めます。
- 患者様中心の医療に基づく迅速かつ正確なデータを提供します。
臨床検査科のご紹介
臨床検査技師 技師長
永谷 道一(ナガタニ ミチカズ)
当院検査科規模は人員15名(男性6名、女性9名)と規模は小さいながらも検体検査、細菌検査、病理検査、生理検査を有している総合検査室です。また、積極的にチーム医療への参加も推進しています。まだまだ学術面では力不足な点はありますが、各種免許取得および学会発表等推進していきます。
スタッフには各個人に適した業務を深く学び、技術を向上させていくとともに、総合検査室の利点を生かして幅広い知識の取得も目指しています。
病院に必要とされる(信頼のおける)検査室であるために常に進取の姿勢で業務推進しています。
当直業務や待機業務もありますが、スタッフ協力し合い、それぞれ個人のライフスタイル、状況に合わせて仕事をしています。
平均検査件数
平均検査件数
No | 検査内容 | 件数 |
---|---|---|
1 | 検査採血コーナー採血実施人数 | 80人 / 日 |
2 | 生化学・免疫 | 250件 / 日 |
3 | 血液 | 200件 / 日 |
4 | 心臓超音波検査 | 250件 / 月 |
5 | 腹部その他超音波検査 | 550件 / 月 |
6 | 細菌 | 400件 / 月 |
7 | 細胞診 | 230件 / 月 (現在外注検査) |
8 | 病理 | 90件 / 月 |
参加チーム医療
- 感染対策チーム:週1回ラウンド
- Nutrition Support Team(NST):週1回ラウンド
- 心臓カテーテル検査チーム
- 心臓血管外科術前カンファレンス:週1回
- 医療安全チーム:不定期ラウンドおよび定期会議
感染対策チームラウンド
NSTラウンド検査
心臓カテーテル検査
心臓血管外科カンファレンス
臨床検査について
臨床検査は、主に臨床検査技師が働く職場で尿、便、髄液、関節液、血液などを使って検査するもの(検体検査といいます)と、心電図検査、脳波検査、超音波(エコー)検査など直接からだを検査するもの(生理機能検査といいます)があります。
尿や便、髄液、関節液を検査材料にして、病気のふるいわけをすることと病気の進み具合を見ることが主な目的でおこなわれる検査です。
とても大切な病気の情報が含まれておりますので重要な検査です。
検体検査部門
尿検査、髄液検査、便検査など、検体検査部門の検査のご案内です。
検体検査
- 尿検査
- 簡単な尿検査は試験紙を用いて色の変化や濁り、沈殿の有無を調べるものです。ほとんどの健診で一般的に検査されます。
近年は、多くの検査を早く結果を出すために尿分析装置が使われております。
尿に蛋白が含まれる場合は腎疾患や尿路系の異常や心筋梗塞、脳梗塞などが疑われ、糖(ブドウ糖)が含まれる場合は糖尿病や膵炎、血液が含まれる場合は尿路系の炎症や尿路結石、腫瘍などが疑われます。 ただし、蛋白は激しい運動をした時や暑さ寒さ、強いストレス、興奮、入浴後や生理の前後など腎臓に異常がなくても一時的に陽性に出ることがあります。また、糖も一時的に食事などによって陽性に出る場合もあります。ウロビリノーゲンの量や尿の比重も病気を示唆します。
細菌が混じる場合には泌尿器系の感染症が疑われます。また、尿の色から病気の手がかりにもなります。
薬の影響で色が変わる場合もあります。妊娠した女性からはヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)というホルモンが検出されます。
尿検査
- 髄液検査
- 中枢神経の病態を把握することができます。たとえば髄膜炎になると髄液中の細胞数や蛋白が増加します。
このほかにも癌や神経が変性するような病気などもこの髄液検査をすることで診断したり治療効果を判定したりすることができます。 - 便検査
- 寄生虫の虫体や虫卵を顕微鏡で調べます。日本では寄生虫感染症は少なくなっていますが、発生しやすい地域があります。
便中ヒトヘモグロビン検査は、便にヒトの血が混じっているかどうかを調べます。大腸がん健診では欠かせない検査で、便中のヒトヘモグロビンが陽性になれば大腸や肛門などからの出血が示唆されます。ただし、陽性だからといって「がん」だというわけではありませんが陽性になった場合は内視鏡検査などの精密検査をし、診断を進めていきます。
病原性大腸菌や赤痢菌、サルモネラ菌などによって起こる細菌性腸炎(細菌性食中毒)などは微生物学的検査がおこなわれます。 - 関節液検査
- 関節液の中に白血球や結晶があるか検査します。痛風になると関節液中に尿酸結晶を認めることがあります。
リュウマチなど炎症性の病気では白血球が増加します。 - 血液検査
- 採血によって得られた血液を使って病状などを調べます。身体の隅々を血液が駆け巡っていますので、さまざまな病気の多くの情報が含まれており欠かすことの出来ない検査です。検査には専用の全自動分析装置を使って、血液や血液の中の血清を用いて、貧血、白血病、血液の異常、肝臓機能、腎臓機能、膵臓機能、心臓機能などや動脈硬化の原因となるコレステロールや中性脂肪、血糖などの糖尿病関係、腫瘍マーカー・甲状腺疾患マーカー、感染症の検査、ウィルスの抗体量などは血液の状態から知ることができます。
また、輸血の血液が適合するかどうかの検査も採取した血液を使っておこなわれます。
多くの検査は、24時間体制でおこなわれ救急医療に対応しています。
また、外来ではほとんどの血液検査は診察前に検査結果がでるように実施されています。 - 微生物検査
- 喀痰や尿、便などを用いて細菌を培養して病原菌を特定すること。また、検出された菌にどのような薬剤(抗生物質)が有効か判定する薬剤感受性検査をおこなって診療に役立てます。細菌の遺伝子検査がおこなわれるときは、検査センターと連携して結果を出します。
微生物検査は、結果が出るまで数日かかるものもあります。
微生物検査
- 病理検査
- 患者様から採取した細胞や切除した組織を染色して顕微鏡で観察し、「がん」か「がん」でないかを調べます。これは病理医が診断しますが病理組織診断といいます。また、喀痰や尿、分泌物などをガラスに塗って染色し、癌細胞や炎症性細胞などを観察する細胞診検査もおこなわれます。婦人科がん検診もこの細胞診検査によって結果がでます。これらの検査は結果が出るまで数日から10日ほどかかります。
また、手術中に「がん」が取りきれているかどうかなどを判断するための術中迅速病理診断や、亡くなられた患者さんの病気の原因、死因、治療の効果などを究明する病理解剖も行います。
よくある質問
- Q:採血をする時は食事をしないほうがよいのでしょうか?
- A:食事の影響を受けるものもあります。特に、血糖や中性脂肪の検査は食事の影響を受けます。サプリメントも検査値に影響を与えることがあります。
- Q:採血した日はお風呂に入らないほうがよいですか?
- A:入浴は大丈夫です。採血後はしっかり押さえて止血してください。(通常3~5分)血が止まれば問題ありません。また、血が止まらない場合はすぐにスタッフに申し出てください。採血による生活(入浴、運動など)の制限はありませんので、具合が悪くなければ日常の生活を送ってください。
生理学的検査部門
心電図検査、長時間心電図検査、負荷心電図など、生理学的検査部門の検査のご案内です
- 心電図検査
- 胸が出るように上半身裸になっていただいて、胸・両足首・両手首に電極をつけて心臓が動いたときに発生する波形を増幅して記録します。3~5分で終わり、全く痛さはありません。結果は直ぐに診察の医師のところに送信されます。
- 長時間心電図検査
- 日常生活をしながら8時間以上(通常は24時間)連続して心電図の記録をおこなう検査を長時間心電図検査といいます。これは日常生活の中で、心電図の変化を直接捉えることが可能で不整脈や虚血性心疾患の診断によく用いられます。開発者の名前からホルター心電図とも呼ばれます。小さなお弁当箱のような機械を身体につけて長時間普通の生活をしていただきますが、検査当日は入浴やシャワーはできません。
患者様には、運動、食事、飲酒、トイレ、服薬、症状などの行動記録を書いていただきます。検査結果が出るまで5日~7日かかります。
この検査は、人体に全く害はありませんので妊婦の方や乳幼児でも安心して受けていただけます。 - 負荷心電図
- この検査は、日常生活の中で現れる胸痛・動悸・息切れなどの症状を再現し、そのときの心電図変化と血圧の変化をみて、運動中の心臓の状態を調べる検査です。実際は、年齢、性別に応じた速度で踏み台の昇り降りをし、心電図変化の有無を観察します。
- 脳波検査
- 頭皮上に普通20個の電極を左右対称につけて患者さんから出る脳波(α波・β波など)の電気的信号を脳波形で記録します。脳神経の病気や平衡機能検査などに用いられます。検査中に光刺激や過呼吸をしていただきますが、痛さは全くありません。検査時間は大体1時間くらいかかります。
- 呼吸器機能検査
- 肺がどの程度の働きをしているか、空気を肺に出し入れする機能を調べる検査です。思い切り息を吸い込んだり、思い切り息を吐いたりする検査で、多くは健康診断や肺気腫、気管支喘息、慢性気管支炎などの病気の重症度や病気の種類を調べるために検査します。
- 超音波検査(エコー検査)
- 超音波とは光より波長が短く目に見えないものです。波長が物にぶつかって跳ね返ってくる性質を利用した検査です。この検査の特徴としてまずあげられることは、痛みなどはほとんどなく、患者さんにはほとんど負担をかけずにベッドに安静にしていただくだけでからだの様子がわかることです。診断が確実にできる病気もありますが、どうしても限界があって診断ができないこともあります。
エコー検査とも言います。結果は検査したその日のうちにわかります。
超音波検査でおこなわれる臓器は、心臓、肝臓、腎臓、膵臓、胆嚢、膀胱、前立腺、子宮、乳腺、甲状腺、血管、関節、胎児などあらゆる臓器を診ることができます。
超音波検査(エコー検査)
- 心電図検査
- 心臓の収縮する力、弁の動き、心臓の筋肉の厚さ、心臓の室の大きさなどの様子がわかります。
心弁膜症、心筋症、心筋梗塞などの病気の診断や重症度に用いられます。
心電図検査
- 腹部エコー検査
- 腹部の臓器を観察します。腫瘤、奇形、胆石、虫垂炎などがわかります。
- 血管エコー検査
- 頚部(首)の動脈や足の動脈・静脈を観察します。動脈硬化などの様子、血管のつまり、血栓の状況等がわかります。
- その他のエコー検査
- 乳腺や甲状腺では主に乳腺や甲状腺に腫瘤(がん等)があるかどうか、前立腺では腫瘤のほかに肥大しているかどうかなどを観察します。
また、婦人科のエコー検査では胎児の様子を観察することもできます。